老後のこと
四十代は子育てや家のローンの支払いなどの真っ最中で、
老後のことなど考える暇もないというかもしれない。
しかし、将来のために、よき習慣を身につけることは、若いころからできるはずだ。
人生を形づくるのは、とりもなおさず習慣なのだから。
少なくとも、自分自身に耳を澄ますことは、真剣にはじめなければならない。
70歳を超えたある男性は、40歳からはじめたジョギングをいまも続けているという。
冷徹な現実
何の準備もしなければ、老後は何もできない。
この冷徹な現実を、わたしたちは認識しておく必要がある。
定年になってから、急に何かをやろうとしても遅すぎるのである。
英語には、イーチ・アン・オールド、ドッグ・ニュー・トリックス)」、
{歳を取った犬に新しい芸は教えられないというフレーズがある。
いつかは必ず訪れる自由な日々のために、このフレーズをじっくりと考えてほしい。
わたしは豊かで楽しい老後を送るためには、遅くとも、
四十歳を過ぎたあたりから準備に入るべきだと考えている。
調査結果
ある調査結果を紹介しよう。
700人以上の高齢者に聞いてみると、
4人に1人が「最近楽しいと感じたことがない」と答えた。
また、「余暇を楽しんでいない」と答えた人が三人に一人。
しかし、逆に楽しんでいる人が六割あまりいるというから、
少しは胸をなでおろしたが、それでも二六%が日々は楽しくないといったのである。
なんというもったいなさだろう!ここでわたしは声を大にしていいたい。
せっかく訪れた自由な日々を豊かで楽しいものにするためには、
前もって周到な準備が必要なのだということを。
先生の講義
そこへ高校生だった私も、伯母に誘われて一緒に参加。
高校二年生になる夏休みのことでした。
当時の私は、一〇代のお年頃だったこともあり、
断食をしてダイエットになればいいかな、くらいの軽い気持ちで、
伯母に勧められるまま一緒に参加したのです。
それでも、初めて聞く先生の講義は、ユーモアを交えた語り口の中にも、
先生の医師としての信念-何とかして難しい病気を断食や少食によって
治したいという熱い思いが伝わってきて、たいへん感動したのを覚えています。